ベトナムの価値観、美意識
2018年夏、初めて降り立ったハノイは暑く、どこまでも広がる青空が迎えてくれた。まちには異世界が広がっていた。線路の上で繰り広げられる日常生活の風景。日本では考えられないほど派手な高層ビルのライトアップ。旧市街の歴史ある黄色いコロニアル建築。中国風のカラフルな仏教寺院。ベトナムの混沌としたまち並みから日本とは違った熱気を感じる。そう感じるのは、暑さのせいではなく、私が外国人だからだろう。ベトナムの人々からすればおそらく普通のことなのだ。 海外で設計をするということは、価値観や美意識が異なる相手と協働することに他ならない。そこに新しい価値を生み出すチャンスがあると感じる。お互いの違いを否定するのではない、かといってすべてをそのまま受け入れるのでもない。日本の普通でもベトナムの普通でもない新しい価値を目指すことが、外国人だからこそやりやすいのかもしれない。そう考えながら、ベトナム人とともにより良い設計を追求するという、日本では得難い日々を送っている。