ARCHITORIUM OBAYASHI DESIGN PROJECTS

byOBAYASHI

本サイトは縦画面でお楽しみいただけます。
お持ちのデバイスを縦にしてご覧ください。

NOW LOADING...

JOURNAL

vol.2

HITO

in Singapore

HITO

グローバルに挑む大林組設計部

2015年初夏、初めて降り立ったシンガポールの風景を眺めた瞬間、私の胸中で未知なる世界への期待が高まっていくのを感じた。 大林組設計部は近年積極的に海外の設計事務所に職員を送り込んでいる。その理由の一つとして、グローバル企業のクライアントが増え、英語でコミュニケーションが取れる設計者育成が急務となっていることがあげられる。その機会が私にもやってきたのである。当時英語に自信があるわけでもなく海外生活の経験もなかったが、困難にチャレンジすることが自身のレベルアップにつながると信じ、新しい世界に飛び込んだ。それから2年間、eco-id architectsという設計事務所でSenior Architectとして設計に従事した。シンガポールという異国の地で、事務所の仲間と共に仕事に打ち込み、クライアントと議論しながらプロジェクトを推し進める。大林組で培っ たものを駆使して世界に挑戦する経験は、自らの世界を広げ、たくさんの気付きを与えてくれた。

2年間の経験の中で最も実感が強かったのが、「設計行為の普遍性」だ。地域性や文化の違いはあれども、そこに介在する設計のロジックや設計解に至るプロ セスは同じで、これまで大林組設計部で培ってきたことは、世界のどんな場面でも十分に通用すると認識できた。 一方、グローバルに展開する設計事務所に在籍したことで、設計者の立ち位置の違いを明確に感じた。クライアントが eco-id に強く求めるものは純粋なデザインである。それゆえ彼らはその部分に最も時間をかけ洗練させてゆく。設計ロジックやプロセスは普遍でも、各作業にかける時間と労力のバランスが異なるのだ。 この経験は設計者として非常に貴重なものだった。 シンガポールでの生活は総じてすばらしい経験であった。世界各地から集まった同僚たちとの交流は、これまでの人生になかったものであり、コミュニティの輪が広がったことは純粋にうれしかった。人と人のつながりを大切にし、より良いものをつくる大林組設計部の精神は、世界のどこにあっても変わらない。シンガポールを離れる時に仲間たちと交わした言葉は、「また世界のどこかで」。グローバルに集える仲間や友人を得て、自分の視野が大きく広がったと同時に、設計者としての強い自覚にめざめ、広い世界で挑戦する覚悟ができた。

architorium_vol02_44_journal.jpg