ARCHITORIUM OBAYASHI DESIGN PROJECTS

byOBAYASHI

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JOURNAL

vol.2

GATHERING ACROSS

PROJECT JOSAI I -HOUSE 東金グローバル・ヴィレッジ

GATHERING ACROSS

路地空間が世界をつなぐ

文化や風習が異なり、誰も知る人のいない海外で留学生活を始めようとする時、 分からない事も多く不安な気持ちになったりする。そんな時は、急ぎ足ですれ違う人には声を掛けづらいが、のんびり佇んでいる人には声を掛けやすいものだ。 留学生にとっての住居は、物理的・精神的に守られる安堵の場であってほしい。 その上で更に、風土に慣れない者同士が寄り集まり、のんびり佇み話し合えるコモンスペースがあれば、より居心地の良い住まいとなる。 JOSAI I-HOUSE 東金グローバル・ヴィレッジは世界各国から集まる大学生たちのための寮である。下町の路地のような安堵感があり、井戸端会議のようにかしこまらずにコミュニケーションできる。小さなきっかけから交流が生まれ、やがて確かな絆をつくり出すことのできる場所を目指したものである。

小さなしかけが変化を生む

この留学生寮の最大の特徴は、ルーバーの内側に平行して並ぶ二本の廊下である。外廊下では、三角形の空間が外に向かってランダムに張り出しており、 内廊下には、個室の入口が並ぶ。外廊下と内廊下の間は透明の引き戸があり、 自由に行き来ができる。外廊下では、通過するだけでなく、三角形の空間により、学生同士がすれ違いざまにちょっとしたおしゃべりをする余地を設けた。一方、内廊下は、部屋から出てゆっくりと話ができる、細長い路地のような溜まりの空間を想定した。ルーバーを通して外の風や光を感じる半屋外の外廊下から、一歩奥に入った内廊下を経て、更に寮室へと、徐々に動きのスピードを落としていくような、三段階の空間構成となっている。人の流れに変化を生みだし、交流を活性化することを目指した。

上下階の交流を促す縁側空間

ランダムに張り出した溜まりスペースをずらして配置することで、上下階の交流を促すように意図されている。各階にある空間的なしかけはささやかな交流を生み、小さな日常の交流を積み重ねることで全体が活性化されることを目指している。また、互いに交流する姿がルーバー越しに建物の外に滲み出すことで、建物のコンセプトが視覚化されることも意図した。 外部と内部を緩やかにつなぐ半屋外的な空間は、縁側や路地を想起させる日本らしい空間でもある。世界各国から学生が集まる国際大学として、留学生には日常の空間体験によって日本文化を感じてもらいたいという狙いもあった。この留学生寮が学生たちの何気ない一瞬一瞬の交流を輝かせ、一生の思い出をつくりだす大切な場所となることを望んでいる。